千国諏訪神社のささらすり
ちくにすわじんじゃのささらすり
9月第2週の日曜日、小谷村の千国にある諏訪神社では、秋の例祭が開かれる。
千国諏訪神社の秋の例祭は「ささらすり」。
ささらすりは、子孫繁栄を願って行われる祭りで、そのユニークな姿から長野県内外から見物客が集まる。
祭りの始まりは、千国諏訪神社から500mほど離れた大きな岩から。
注連縄の掛けられた岩にお参りをし、祭り囃子の笛を鳴らしながら、神職と巫女と氏子の行列が続く。
その脇を「ささら男」と呼ばれる地元の男性たちが練り歩く。
赤や黒く塗られた、ひょっとこ、おかめの面で顔を隠し、木でできた大きな男根を竹でこすって音を立てながら歩く。
襦袢をだらしなく着こなして、互い違いの履物、長靴はボロボロで腰を落として歩き回る姿がユーモラス。
練り歩く道中では、子供や女性を追い回し、木を擦って音を出したり突き回したり。
祭りならではのアルコールも入っているため、通りがかりの人たちや、車が止まると、近寄ってみたり、木の棒を使って交通整理をしてみたり。
男の子には一緒に木を擦ってみたり。
行列が神社へ入って行くと、神職と氏子の方々が社殿へ入って行く。
その間、社地では続々と人が集まり、ささら男に子供や女性が追いかけ回されたり、お神酒が振る舞われたりしていた。
拝殿での儀式が終わると、社地の向い側に建っている神楽殿で獅子舞が行われ、ささらすりのクライマックスを迎える。
獅子と、その周りでちょっかいを出すささら男。
途中、獅子が姿や形を変えながら、さまざまな様子で男を蹴散らしていく。
獅子舞が終わると、祭りを賑わせていたささら男や、お囃子が無くなり、子供の奉納相撲が行われる。
社地の中心にある土俵に土が盛られ、相撲に参加する子供たちが、盛られた山を崩して相撲が始まる。
それまでの賑わいとは違った和やかな雰囲気の祭りに変わり、ささらすりは終了した。
「ささらすり」という祭は、小谷村千国だけではなく、多少の変化はあっても各地で行われているようで、隣の新潟県佐渡島では「つぶろさし」という名称で似た祭りがおこなわれ、県指定の文化財にもなっている。