下清内路の手づくり花火

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下清内路の手づくり花火

しもせいないじのてづくりはなび

下清内路の手づくり花火

手づくり花火最大の特徴
火薬から全ててづくり

10月、南信濃の清内路では、手づくりの花火が奉納される。
清内路はカボチャやカブなどの農作物が豊富な場所で、特に葉タバコは特産物として知られていた。 江戸時代、タバコと木櫛の行商で三河地方を訪れた村人が、タバコと引き替えに火薬製造の秘伝を伝授してきたことが原点で、1731年、下清内路の諏訪神社が再建された際にお祝いとして奉納されたそうだ。
約300年間、一度も欠かすことなく秋の例祭として奉納されている。
この奉納は、清内路は上清内路、下清内路のそれぞれの諏訪神社、そして下清内路の建神社の3社で行われ、以前は一晩ごと合計3回行われていたそうだ。
現在では上清内路の諏訪神社で一晩、下清内路の諏訪神社と建神社で一晩と分けられている。

下清内路の手づくり花火
下清内路の手づくり花火

手づくり花火は、各地で見られる打ち上げ式で、青や黄色のさまざまな色が見られる花火ではなく、眩しい黄色の火花の散る仕掛け花火。
関係者の間ではこの火花を「花を咲かせる」と言われているそうだ。

下清内路の手づくり花火

10月12日。下清内路の諏訪神社ではこの年の二晩目の祭礼が行われた。
1週間前にすでに上清内路の奉納は終わり、新聞にもその様子が掲載されていた。
午後6時、手づくり花火の会場になる社地には、たくさんの人が集まっていた。
点火の予定時刻は7時半。
どこからか練り歩いてきた子供の山車や、祭り道具の行列が入ってきた。
続いて奉納の太鼓が打たれ、手づくり花火の準備が始まる。

下清内路の手づくり花火

社地内には櫓や糸が張られ、仕掛けが作られている。
3分置きくらいに打ち上げ花火が上がり、その間に火薬の準備が進められていた。

下清内路の手づくり花火

7時半、花火の予定時刻になり、準備が終わると場内のアナウンスに従ってライトが消され諏訪神社の最初の花が咲く。
神社の階段から糸を伝って花火が走り、社地の反対側にある仕掛けに着火。
火花の散るバチバチという大きな音、足を火の粉を浴びながら足を踏みならし「オイサ!オイサ!」という掛け声。

下清内路の手づくり花火
下清内路の手づくり花火
下清内路の手づくり花火

音と眩しい光に度肝を抜かれる。
時間にしておそらく2~3分、花笠と言われる最初の花火が終わると、今度は社地の反対側で巴車(しゃくま)という仕掛けが準備される。
横に回転をする花笠に対し、巴車は縦回転。
火花の中ではやはり足を踏み鳴らして掛け声を上げる。

下清内路の手づくり花火
下清内路の手づくり花火

下清内路の手づくり花火

下清内路の手づくり花火
下清内路の手づくり花火

そして、祭りのクライマックスは高さ10mの三国柱と呼ばれる柱の頂点に、直径十数センチ、2m弱の竹筒が取り付けられ、高く火花が上げられる大三国と呼ばれるもの。
高い場所から滝のように流れる火花と、花笠や巴車以上に大きく高く上がる音と煙。
回転などの派手な演出は無いが、シンプルで迫力がある。
この大三国は過去には失敗例もあったようで、着火した途端に爆発したこともあったそうだ。
一般的には紙筒で作られるものを、敢えて竹にこだわり、祭礼を行っているそうだ。

下清内路の手づくり花火
下清内路の手づくり花火

下清内路の手づくり花火
下清内路の手づくり花火
下清内路の手づくり花火
下清内路の手づくり花火
下清内路の手づくり花火

社地を巡る糸を走る火花、着火と同時に爆発したように飛び散る花火と立ち上がる煙。
そして、火花の中で激しく足を踏みならす人々の様子。
非常に迫力のある貴重な祭礼を見た。

下清内路の手づくり花火
下清内路の手づくり花火

建神社の奉納時に咲く「手筒花火」と「黒船桜」。準備がたいへんらしく時間がかかった。

下清内路の手づくり花火

10月の清内路はとても寒く、仕掛けの準備のための待ち時間があります。 見学の際は厚めの防寒着が必要です。 また、場内は狭くたくさんの見物客が訪れるため、撮影のための三脚は危険です。 係員の方の指示に従ってマナーの良い見学をお薦めします。

所在地下伊那郡阿智村清内路下清内路
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