子安社
こやすしゃ
伊那市美篶芦沢
伊那市と旧高遠町との境付近の傾斜地に建てられている。
子安社、八幡社、妙儀社の三社を同じ覆屋の中に納め、隣には天満宮を祀っている。
代々、高遠城主の祈願所として庇護されてきたといわれており、寛文4年の6月に、山崩れによって社殿が破壊されてしまい、翌年に現在地へ造営したとされている。
集落から伸びる参道には、3社殿の社名が書かれた木製の鳥居が建ち、それを上り進むと、石造の鳥居が建っている。
石段を上りきった社地には、本殿を正面にして左側に天満宮、右側にさまざまな祠が祀られている。
祠の個々には鳥居が設けられており、春日社など社名が記載されている。
決して大型のものではないが、簡素な造りの鳥居が並ぶ景色には圧倒されるものがある。
覆屋の中に並ぶ3社殿は、右側に鎮座する八幡社が明治時代の建立。
中心の子安社が19世紀後期の建立。
文化財に指定されている妙儀社が17世紀の建立とされている。
それぞれに同等サイズの社殿となっており、木鼻などに使用されている彫刻は細やかで見応えがある。
妙儀社の本殿は一間社流造の柿葺で、面取りをした角柱を使用している。
現在では褪せてしまっているが、全体に彩色が施され、茶色の下地に白の文様が良く残っている。
軸部は切目長押・内法長押・頭貫で固められ台輪を置いている。
組物は出三斗で桁行のみが連三斗で、中備は蟇股で、正面は鯉、側面は鹿、猪のモチーフの彫刻が見られる
妻飾は虹大瓶束に叉首がつく。
向拝の木鼻・海老虹梁に、室町時代の様式の名残がみられる。
祭神 | 木花咲耶姫命 |
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本殿 | 19世紀後期 |
建築様式 | 一間社 流造 柿葺 |
祭神 | 品陀別命 |
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本殿 | 明治時代初期 |
建築様式 | 一間社 流造 柿葺 |
祭神 | 日本武命 |
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本殿 | 市指定文化財 寛文5年(1665)社伝 |
建築様式 | 一間社 流造 柿葺 |
子安社の左側には、天満宮が覆屋の中に建立されている。
屋根などに損傷している様子が見られるが、それだけに趣のある社殿となっている。
全体を素木で造られているため、決して彩の豊かなものではないが、彫刻などの装飾が見られる。
軸部は円柱を切目長押・内法長押・頭貫、組物は連三斗として木鼻上に皿斗を置いて受ける。
中備は蟇股で梅をモチーフとした彫刻が施されている。
妻飾は虹梁大瓶束とし、大瓶束頭に木鼻、大斗上に花肘木が取付く。
向拝とは海老虹梁で結ぶ。向拝虹梁は挿肘木で受ける。
全体に文様彩色が残っていて、垂木木口にも梅花文様が見られる。
海老虹梁・妻飾の様式から、貞享・元禄期の建築と考えられている。
所在地 | 伊那市美篶芦沢 |
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ホームページ | なし |
本殿 | 市指定文化財 17世紀後期 推定 |
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建築様式 | 一間社 流造 柿葺 |