三峯神社
みつみねじんじゃ
埼玉県秩父市三峰298-1
日本武尊が東征の際に三峰へと登り、伊弉諾尊・伊弉册尊を祀ったのが始まりとされている。
深い秩父の山々から眺める景色に、二柱がこの国を生んだこと忍んでの造営という。
修験の山としての歴史もあり、600〜700年にかけて存在していたという役小角が修験のために三峯山を訪れたともいわれ、このことから三峯山でも修験道が始まったと考えられている。
700年代中期からは本堂が建てられ、三峯神社の本地堂としたことから徐々に神仏習合の神社として祀られるようになったという。
三峰は現在では強力なパワースポットとして訪れる人も多く、社地の下には土産物屋が並び、駐車場も広く整備されている。
社地の入り口には珍しい三峯鳥居が建てられている。
三峯鳥居は明神鳥居の両側にさらに明神鳥居を組み合わせたもので、他には奈良県の大神神社などが知られている。
鳥居から続くアスファルトの参道を登っていくと、正面には大きな日本武尊の像が見える。
参道は左手へと折れ、大きな随神門へと続いていく。
鮮やかな彩色の施された随神門は、もともとは1691年の建立され、現在のものは百年後の1791年に再建されたもの。
2体の随神が祀られ、各所に鮮やかな装飾が施されている。
随神門から灯籠に囲まれた砂利の参道、社殿の正面に進むと石段の上に三峯神社の華やかな拝殿が見える。
石段を上ると1845年に建てられた青銅鳥居。
この鳥居は東京の深川から運ばれてきたもので、当時は荒川から筏を引いて持ってきたという。
鳥居を挟むように、右側には八棟木灯台。
高さ6mで、全体を赤く塗り各所を金物で装飾されたもので1857年に建てられた。
左側の手水舎は1853年の建築。
軒下に細やかな彫刻が施され、鮮やかな彩色が目を惹く。
特に白く塗られた木部に青や朱の色彩、見事な龍の彫刻など、迫力のある建築になっている。
正面に建てられた拝殿は1800年の建立。
石段の下から見上げる建築は、鮮やかさが際立つよう。
隙間なく施された彫刻と彩色、周囲に回された縁と、脇障子には竹林七賢人の彫刻。
拝殿の後ろには本殿が建てられている。
本殿は拝殿と比較すると若干彩色が抑えられているようにも見えるが、色彩は三峯神社らしく鮮やか。
組物や虹梁には見事な装飾が施されている。
拝殿の横には、租霊社や国常立尊を祀る社殿が並ぶ。
若干、装飾が控えめになっているものの、正面は鮮やかな色彩があり拝殿を小さくしたような印象にも見える。