武水別神社
たけみずわけじんじゃ
千曲市大字八幡3012の2
武水別神社は、千曲市の文化財として、「やわたの八幡さん」として知られている。
建築的にも大型の社殿を持ち、存在感があり、周囲の街並みも街道沿いに古い建物が並び、風情が感じられる。
社地の入り口には道をまたぐように大きな鳥居が建ち、景観に溶け込んでいる。
善光寺平の五穀豊穣と傍を流れる千曲川の氾濫防止を祈念して祀られたという。
現在では、交通安全の厄除けとしても知られている。
鳥居を潜り、社地に入ると左側に3つの祠が建つ。
秋葉社と呼ばれる、この3つの祠は、右から秋葉社、鹿島社、秋葉社となっている。
3つの祠は祭神が異なり、それぞれにこの地域の生活を守るため、自然の力への畏れとして祭られているそうだ。
社地で最初に眼に入るのが、朱に塗られた高良社である。
覆屋が設けられた一間社流造の社殿で、建築年代は16世紀、室町時代と考えられている。
平成5年に修理が行われ、とても鮮やかな朱が見られる。
主屋の柱の上にある組物に舟肘木が使われ、軒には垂木が見られない、とても簡素な造りになっている。
この簡素な造りが、他の神社と比べてとても軽い雰囲気があり、室町時代の神社建築としては特色があるものだという。
室町時代の特色を示す建造物としても貴重なものとなっている。
神社の境内には、たくさんの境内社、摂社が建つ。
社殿としての規模は大きくはないが、神社としての雰囲気、ところどころに見られる彫刻には目を瞠る。
本殿の前に建つ拝殿は、立川流2代目富昌の後見のもと、峰村弥五郎によって1856年に建てられた。
大きな入母屋の屋根がかけられた平入りで、木花には獅子と獏、正面の扉の上には細かな花の彫刻が付けられている。
もともとは瓦葺きだったが、昭和57年に銅板に葺き替えられた。
本殿は、棟木に置かれた鰹木が印象的な大型の建物である。
間口柱間3間、奥行きが6間もあり、たくさんの人を一度に収納できるため、厄除けなどの祈願の際にも使用されている。
三間社流造の本殿建築としては大型のもので、平側およそ9m、妻側11mを越える本殿となっている。
妻側をはじめとして、各所に多くの精巧な彫刻が見られるが、外部から全体を見渡した形のバランスがよく迫力がある。
土台部分には五手先の大型の組物が設けられている。
この部分に肘木が見られる社殿も珍しく、大型建築を支える大切な箇所の一つとして見ることができる。
建物の基礎をじっくり見ていくと、基礎に腰掛けるように置かれた像に気が付く。
背後の西側に寄りかかる姿はどこか可愛らしい。
非常にたくさんの摂社が設けられているため、本殿拝殿だけでなく、それらの細かな建築物にも目を留め楽しめる。
所在地 | 千曲市大字八幡3012 |
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ホームページ | http://takemizuwake.web.fc2.com/ |
祭神 | 武水別神社:天水別神・国水別神・誉田別尊・息長帯日売神・比咩大神・高良社:武内宿弥 |
本殿 | 嘉永3年(1850)社伝 |
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大工 | 立川和四郎富昌 |
建築様式 | 三間社 流造 鉄板葺 |
拝殿 | 安政3年(1856) |
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大工 | 立川和四郎・峰村弥五郎 |
建築様式 | 桁行六間 梁間三間 入母屋造 妻入 銅板葺 |
摂社高良社 | 県宝 16世紀前期 推定 |
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建築様式 | 一間社 流造 鉄板葺 |