北熊井諏訪社
きたくまいすわしゃ
塩尻市片岡熊井
松本から塩尻へ抜ける街道沿いに建っている。
近くには厄除けで知られる牛伏寺や、埴原神社があり、交通の要所にだったのだろうと思う。
鳥居は両神鳥居。
太い注連縄が括り付けられ、杉に囲まれた社叢が続く。
参道の正面には神楽殿。
その脇を通って社地に入ると、社叢の影が開けて、ゲートボール場が1面。
正面には拝殿が建って、その後ろの大きな覆屋の中に本殿がある。
社地をゲートボール場として使用している神社は県内でもよく見られ、目にするたびに、その神社が人が集まる場所として生活の中に必要なものになっていると感じる。
入り口には木造の明神鳥居が建ち、その脇には手水舎がある。
石段を上ると市指定の文化財になっている拝殿が建っている。
とても立派な拝殿で建築は立川富棟と伊藤庄左衛門。
正面の拝殿の両側に幣殿が建った諏訪大社に似た形のもので、拝殿は一間ごとの真四角に構成した方一間で、入母屋造。
向拝の下の虹梁などの彫刻がとても細かく見ごたえのあるものとなっている。
本殿は県宝にも指定されている比較的大規模な建築。
奥行きは4m以上あり、拝殿を正面から見た際に、その後ろに覆屋の屋根が見えてとても迫力があった。
大隈流の建築として貴重なもので、素木造の全体にたくさんの彫刻がついている。
縁の下の肘木に三手先の彫刻を加えたり、軒下の二手先の組み物があったり、かなり複雑な建築様式が使われている。
ただ複雑な様式以上に、随所に使われている彫刻が特徴的なものとして評価されているようで、向拝の正面にある虹梁上の龍や鳳凰の彫刻、海老虹梁の波や鯉の彫刻、扉や欄間などに大隈流のダイナミックな表現が見られ、その細かく入り組んだ彫刻は、専門的な知識がなかったり、その特徴に気がつかなくてもとても楽しめるものだと思う。
所在地 | 塩尻市片岡熊井 |
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ホームページ | なし |
祭神 | 建御名方命・八坂刀売命・事代主命 |
本殿 | 県宝 天明2~3年(1782~1783)文書 |
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大工 | 藤儀左衛門・柴宮長左衛門 |
建築様式 | 一間社 流造 柿葺 |