刈谷沢神明宮
かりやさわしんめいぐう
東筑摩郡筑北村坂北刈谷沢
長野県の無形民俗文化財に指定されている祈年祭の「お田植え祭」で知られる刈谷沢神明宮は、坂北の総社として祀られている。
筑北村の坂北地区、刈谷沢は山林と田畑に囲まれた場所で、神明宮が建つ所も、とても静かな社叢に囲まれている。
もともとは伊勢神宮の御厨だった地域で、鳥居の先に広がる社地には、天野社をはじめとして8社の末社が祀られている。
参道の途中に置かれている惣門は、天明3年の建築。
特別な装飾のない、シンプルな構造の四脚門で、屋根は瓦葺きで切妻造妻入である。
社地の左手に建つ拝殿は、享和2年の建築。
諏訪の立川流2代目富昌の建築とされており、屋根は切妻造。
軒下の彫刻は、龍や象、獅子で見ごたえがある。
拝殿の背後には、2×3の神明造の本殿。
棟持柱や鰹木、千木、鞭掛けなど神明造としての特徴があり、正面の両側には、随身が置かれている。
本殿の背後にある、真ん中の柱間には引戸が付けられており、用途は分からないが内部へ入ることができるのではないかと思われる。
また、拝殿の横には切妻2階建ての直会殿。
拝殿の向側には寄棟の神楽殿が建っている。
両方ともに享保2年の建築。
神楽殿は背後が斜面になっているため、床下の柱を高く伸ばし、社地と同じ高さに建物を設けている。
周囲の壁が吹放ちで、内部に可動式の舞台を設けている。